もちつもたれつ、得手不得手

 私達のように建築に携わる者にとって旅行はレジャーでありながら一面では勉強、又は研修の意味合いを持ちます。 それは訪れた先々で、各々特徴のある建築を見ることが出来るからです。  大都会では最先端のビルを、古都では歴史のある神社仏閣を興味深く見ることが出来ます。
 その中でも「城」はとりわけ勉強になります。何故なら、神社仏閣は、標高の高い低いはあっても立地条件(敷地)はほぼ平坦で、せい ぜい石段が有る程度ですから見る対象が99%は「建築」に限られてしまいます。 それに比べて「城」は、小高い丘を削り、あるいは盛土をし、周囲に堀を巡らし、高い石垣を積み上げ、その上に建物が乗っているのが 普通です。これは正に「土木」と「建築」の競演、又は総合芸術を言うことが出来るのではないでしょうか。今と違って、建設機械や、電 気の無い時代です。人の力だけを集めて、どのようにしてこのような巨大な構造物を造ったのだろう?そんなことを考えながら見ていると、いつも一 行から置いていかれ、旅行のグループに迷惑を掛る私です。
 総合芸術たる「城」はどの部分を見ても関心させられますが、最近私はとりわけ石垣に人間社会との共通点を見出します。  巨大な石をどのようにして伐り出し、運び、積み上げたかに思いを巡らす他に、その千差万別の石を実に巧に組み合せ、全体として強固 な構造物を作っている点です。 もっと近くに寄ってよく見ると、それら石の中に玉のような丸い石はほとんど使われておらず、専ら角張った異形のものばかりであるこ とに気が付きます。その出っ張った部分が隣同士、ぶつからないように交わり合い、大の間に小をはさんだりして、絶妙のバランスを保っ ています。なるほど丸いもの同士は組み合せが効かない。



 これは人間社会にも当てはまります。たとえば長所欠点のあまり目立たない、温和な人ばかりを集めてスポーツのチームを作っ てもまず勝てないでしょう、会社でも同じで、そんな集団が業界のトップに踊り出ることはありません。  また、集められた人達から見ても、そんな集団の中にいること自体、面白くないと思います。
 欠点は欠点として認め合い、長所を自由に発揮できるよう、大も小も公平な一員として働けるような仕組みを 作るところに人間社会の面白みがあると思います。それを形にしたのが石垣ではないでしょうか。


得手不得手がホームページの源

 ところで、今ご覧頂いている当社ホームページも正に石垣と同じです。
といいますのは、このような文章を作っている私(潮田)は、実はパソコンに全く触れない 旧人類であります。ですから原稿は全て手書きです。第一、自分の書いた文がホームページに 使えるなんて、つい半年前まで想像もつきませんでした。
 それを可能にしたのがコンピュータ大好き人間の長谷川明宏君です。
「ウチの会社でもホームページを作りましょう」と発案したのも彼ですし、その後の作業を 彼がリードし、2人の女子社員(早川さん、船越さん)達の協力の賜物です。
 反面、社員さん3人とも文を作るのはあまり得意ではありません。これがもし、4人とも 文を作るのも普通、コンピュータも普通だったとしたら、はたしてホームページは出来たでしょうか。 恐らく話だけで終わっていたでしょう。正に組み合わせの妙です。


ずっと新鮮を保つことが大切

 この文を作っている私(潮田)はパソコンの操作が出来ないので詳しいことは判りませんが 、ホームページは苦労して作っても、又はプロに作ってもらっても、そのままにしておけば 野菜と同じで、たちまち鮮度を失い、見る人にとって魅力の無いものになってしまいます。
絶えず中身を更新していかないと生きた物になりません。
 ちなみに同業他社で開設しているところは知っている限り20社もなく、そのほとんどが開設したままか、半年ぐらいそのままの状態で、 正に塩漬けです。「しめしめこれは行けそうだ」
 何故ならば、私はこれまで20年近くの間、仕事(建築の見積)や趣味(木工)をやりながらその時々に感じたことを面白おかしく文に まとめ、雑誌に投稿して参りました。最近それらを「棚卸し」したところテーマだけでも60本あり、その殆どが現在でも通用する内容なのです。 そこへ「新作」を追加して行けば長持ちしそうな予感がします。どうぞお楽しみに。